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JLPT N2故事

花木蘭花木蘭

父のために戦う勇敢な女性の中国の物語。替父從軍的勇敢女性的中國故事。

今から千数百年も前のこと、北方の異民族が国境を越えてしきりに攻め込んでくるようになった。皇帝は国を守るため、ついに全国の家々に対し、家ごとに男子を一人ずつ差し出すよう徴兵の命を下した。

距今一千多年前的中國,北方異族屢屢越境進犯,氣燄甚是囂張。 為了衛國守土,皇帝終於下令在全國範圍內徵兵,要求每戶人家務必出一個男丁。

一通の召集令状が、辺境のとある村にある木蘭の家にも届いた。家族は皆、その紙を握りしめながら長く黙り込むほかなかった。

一道徵兵令也送到了邊境一座小村莊裡——花木蘭的家中。 一家人手捧那張徵召令,久久說不出話來。

木蘭の家には、年老いて病がちな父と、年老いた母、そしてまだ年端もいかない弟しかいなかった。「父上を戦場へ送り出すなど、できようはずがない。かといって、皇帝の命に背くわけにもいかない」と、木蘭は幾晩も眠れぬ夜を過ごした。

木蘭家中,只有年老多病的父親、上了年紀的母親,以及一個尚且年幼的弟弟。 「讓父親上戰場,是萬萬做不到的;可若違抗皇上的旨意,又怎能心安? 」木蘭反覆思量,連著好幾個晚上都輾轉難眠。

悩み抜いた末に、木蘭はある重大な決断を下した。驚くべきことに、彼女は男に身をやつし、父に代わって戦場へ赴こうと決意したのである。

在反覆掙扎之後,木蘭下定了一個重大的決心。 出人意料的是,她竟然決意女扮男裝,替父從軍,親自奔赴前線。

「お前がそのようなことを口にするとは思いも寄らなかった。どうか思いとどまっておくれ」と、両親は涙を流して止めにかかった。しかし「たとえこの命を落とそうとも、家族だけは守ってみせる」という木蘭の覚悟は、もはや揺らぐことはなかった。

「想不到你竟然會說出這種話來,求你千萬打消這個念頭。 」雙親流著眼淚苦苦相勸。 然而木蘭的心意已決:「就算為此丟了性命,我也要把家人保護好。 」再也無法動搖。

翌朝、木蘭は市場へ出向き、駿馬と鞍、そして弓と剣を一そろい買い揃えた。長く伸びた髪をばっさりと切り落とし、父の若い頃の鎧を身につけたその姿は、見間違うほどに凛々しい一人の若武者そのものであった。

第二天清晨,木蘭來到集市,挑了一匹駿馬、一副好鞍,又備齊了弓與劍。 她一咬牙把多年留長的烏髮齊齊剪斷,穿上父親年輕時的鎧甲,那身姿儼然就是一名英姿颯爽的年輕武將。

父と母にひざまずいて別れを告げると、木蘭はためらうことなく馬に飛び乗り、軍の集結地に向けて故郷の村を後にした。彼女のその行いは、家族への深い愛情と父への孝心にほかならなかった。

木蘭跪別父母後,毫不猶豫地翻身上馬,朝著部隊的集結地,一路馳離了故鄉。 她做出這等抉擇,正是出於對家人的深切愛意,以及對父親的拳拳孝心。

戦場での暮らしは、女の身としては想像を絶するほど過酷なものであった。日中は厳しい訓練にしごかれ、夜は凍てつくような寒さの中で野営を強いられた。

戰場上的生活,對一個女子而言,是無法想像的艱苦。 白天要承受嚴苛的操練,夜裡則在刺骨的寒風中露宿。

それでも木蘭は決して弱音を吐くことなく、誰よりも早く起き、誰よりも遅く眠った。剣術や馬術にかけては並ぶ者がなく、その腕前はすぐに上官の目に留まるようになった。

即便如此,木蘭也從不叫一聲苦,起得比誰都早,睡得比誰都晚。 論劍術與馬術,她在軍中無人能及,那一身本領很快便引起了上司的注意。

戦いは長く続いた。十二年もの歳月の間、彼女は北方の荒野や山岳地帯を転戦し、数え切れぬほどの戦に身を投じた。

戰事拖得很長。 整整十二年間,她轉戰於北方的荒原與高山,投身於數不清的大小戰役之中。

出陣のたびに功を立て、味方を救い、敵将を討ち取った。やがて彼女は若い指揮官として軍中に名をとどろかせるようになり、兵士たちは絶大な信頼を寄せるようになった。

每逢出陣,她總能立下戰功,救下同袍,斬獲敵將。 不久之後,她「年輕悍將」的名字便響徹全軍,麾下士兵也對她寄予了絕對的信任。

それほどまでに勇ましく振る舞いながらも、彼女が実は女であることを見抜く者は、ついに一人として現れなかったのである。

然而她雖如此英勇豪邁,軍中始終沒有一個人看出她其實是一名女子。

長い戦いがついに勝利のうちに終わり、軍は意気揚々と都へ凱旋した。皇帝は木蘭の輝かしい武功を称え、高い官位と数々の褒美を授けようとした。

漫長的戰爭終於以勝利告終,凱旋之師浩浩蕩蕩地回到了京城。 皇帝十分讚賞木蘭耀眼的戰功,要賜予她高位與豐厚的賞賜。

しかし木蘭は皇帝の前にひざまずき、「私には官位など望むところではございません。ただ、一刻も早く故郷へ帰り、年老いた父母にこの顔を見せてやりたいだけにございます」と申し述べた。

然而木蘭跪在皇帝面前奏道:「臣不願受高官厚祿,唯願盡快回到故鄉,讓年邁的父母再看一眼這張臉。 」

木蘭のひたむきな孝心に深く心を打たれた皇帝は、無理に引き止めることをせず、代わりに千里を駆けるという駿馬を一頭、はなむけとして贈ってくださった。

木蘭一片純粹的孝心深深打動了皇帝。 皇帝便不再強留她,只贈她一匹據說能日行千里的駿馬作為餞行之禮。

故郷へ戻った木蘭は、戸口で待っていた両親と弟に駆け寄って抱き合った。それから自室にこもって長年身にまとっていた鎧を脱ぎ、本来の女性の装いに着替えた。

回到故鄉的木蘭,撲入了在門口等候多時的父母與弟弟的懷中。 隨後她回到自己的房中,脫去多年披掛的鎧甲,重新換上了昔日的女兒裝束。

ほどなくして、戦友たちが噂を聞きつけて木蘭の家を訪ねてきた。出迎えた美しい娘が、つい先日まで肩を並べて戦った将軍その人だと知った時の彼らの驚きといったら、まさに筆舌に尽くしがたいものであった。

沒過幾天,從前的戰友們聽說木蘭歸鄉,便登門拜訪。 當他們看到迎出門來的竟是一位美麗的姑娘——而這位姑娘正是前些天還與他們並肩作戰的將軍本人時,那份驚愕實在是難以言喻。

「十数年も共に戦ってきた我らが将軍が、まさか女性であったとは」と、誰もがしばしの間、自分の耳を疑ったのであった。

「與我們出生入死十幾年的將軍,居然是個女子! 」眾人有好一陣子都不敢相信自己的耳朵。

木蘭の物語は、親思いの孝行と、女としての勇気を兼ね備えた美談として、世代を問わず長く語り継がれていくこととなった。

花木蘭這段集孝心與勇氣於一身的佳話,從此世代相傳,至今為人所頌。

— 完 —