はるか昔、安達が原という荒れ果てた野原に、一人の旅の僧侶が通りかかった時のことである。日がすっかり暮れてしまい途方に暮れていた折に、前方にポツリと明かりが灯る一軒の粗末な小屋を見つけた。小屋には一人の老婆が住んでおり、僧侶が「どうか一晩泊めていただけないだろうか」と頼み込むと、老婆は少し躊躇したものの、不憫に思ったのか彼を中に招き入れてくれたのである。
很久以前,在名为安达原的荒野上,有一位旅行的僧侣路过。 天色已晚,他正不知所措时,发现前方有一间亮着微弱灯火的简陋小屋。 屋里住着一位老妇人,当僧侣请求“能否让我借宿一晚”时,老妇人虽然稍有犹豫,但或许是见他可怜,便将他招进了屋里。
夜が更けると、老婆は「すきま風が冷たいので、裏山へ薪を拾いに行ってこよう」と立ち上がった。しかし、家を出るにあたって「私が不在の間、決してあの奥の部屋を覗いてはならない。もし少しでも覗こうものなら、恐ろしいことが起きるだろう」と不気味な声で念を押した。僧侶は不思議に思いつつも、約束を守って静かに待つことにした。
夜深了,老妇人站起身说:“风大天冷,我去后山捡些柴火。 ”但在出门前,她用阴森的声音叮嘱道:“我不在的时候,绝不能偷看那个里间的屋子。 哪怕只是看上一眼,也会发生恐怖的事情。 ”僧侣虽然感到奇怪,但还是决定遵守约定,静静地等待。
しかし、老婆の帰りが遅くなるにつれて、僧侶の心には次第に不安と好奇心が湧き上がりつつあった。「どうしても奥の部屋が気になってならない」と、誘惑に抗えなくなった僧侶は、ついに襖を少しだけ開けて覗き込んでしまった。そこには、床一面に新しい死体や人間の骨が山のように積み上げられていたではないか。僧侶は「この老婆は、旅人を食い殺す鬼婆に相違ない」と悟り、恐怖のあまり震え上がった。
可是,由于老妇人迟迟未归,僧侣的心中渐渐涌起了不安与好奇心。 当他再也无法克制“无论如何都想去看看里间”的诱惑时,终于稍微拉开门缝缝隙偷看了一眼。 谁知那里的地板上,竟然堆满了新鲜的尸体和累累白骨。 僧侣意识到“这个老太婆肯定是个杀人吃人的鬼婆”,顿时吓得浑身发抖。
もはや休んでいるどころではなくなった僧侶は、荷物を掴んで一目散に小屋から逃げ出した。ところが、僧侶が逃げるや否や、戻ってきた老婆が約束を破られたことに気づき、恐ろしい鬼の姿に戻って凄まじい速さで追いかけてきた。「おのれ、よくも秘密を見たな」と叫ぶ鬼婆に追いつかれそうになり、僧侶は絶体絶命の危機に陥るほかなかった。
僧侣再也没心思休息了,他抓起行李头也不回地逃离了小屋。 然而,僧侣刚逃走没多久,回来的老妇人就发现了他违反约定,变回恐怖的鬼怪模样以惊人的速度追了上来。 面对大喊着“混账,竟敢偷看我的秘密”并逼近的鬼婆,僧侣陷入了绝体绝命的危机之中。
逃げ切れないと覚悟した僧侶は、背中の荷物から背負ってきた観音菩薩の像を取り出し、必死に経を唱え続けた。祈りが通じたのか、観音像からまばゆい光が放たれたかと思うと、その光に射られた鬼婆は悲鳴を上げて倒れ、ついに息絶えたのである。僧侶が命拾いをしたのはひとえに仏の加護にほかならなかった。その後、僧侶は鬼婆の餌食となった人々の霊を手厚く供養したということだ。
僧侣自觉难以逃脱,便从背后的行李中取出随身供奉的观音菩萨像,拼命地诵起经文。 或许是祈祷起了作用,观音像突然绽放出耀眼的光芒,被强光照射的鬼婆发出一声惨叫后倒地身亡。 僧侣之所以能死里逃生,完全归功于佛祖的庇护。 据说后来,僧侣悉心供养了那些惨遭鬼婆杀害的人们的亡灵。