昔々、悪魔の手で恐ろしい鏡が一枚作られたことがあった。その鏡には不思議な力があり、写すものをことごとく醜く、ねじ曲がって見せる呪われた力を持っていた。

很久很久以前,曾有一位魔鬼亲手打造出一面可怕的镜子。 这面镜子拥有一种诡异的力量——凡是被它照映的事物,无一不会扭曲变丑,宛如被施了诅咒一般。

悪魔たちはその鏡を抱えて天高く飛び上がり、神様までもを笑い者にしようと企てた。ところが、調子に乗りすぎたあげく、彼らは鏡を手から滑り落とし、鏡は地上へと真っ逆さまに落ちて粉々に砕け散ってしまった。

一群魔鬼抱着这面镜子飞上高空,竟然打算用它来嘲弄连神明在内的世间万物。 然而他们得意忘形之下,竟一不小心把镜子从手中滑落,镜子径直坠向地面,「啪」的一声碎成了无数片。

砕けた破片はあまりに細かく、何億という小さな見えないチリとなって、世界中の風に乗って散らばっていった。それを目に浴びた者はあらゆるものが醜く見え、心臓に刺さった者は心が氷のように冷たくなってしまうのだという。

那些碎片细小得几乎看不见,化作亿万颗肉眼难辨的尘屑,随风散落到了世界各地。 据说被这碎屑迷了眼的人,看什么都会觉得丑陋无比;扎进心脏的人,则会渐渐变得心冷如冰。

北のほうのとある町には、カイとゲルダという仲のよい幼馴染が住んでいた。二人は隣同士の屋根裏部屋を行き来して、まるで兄妹のように毎日を共に過ごしていた。

在北方一座小镇上,住着一对要好的青梅竹马——男孩凯伊与女孩格尔达。 两家紧挨在一起,连阁楼的窗户都相对而开,两人每天像兄妹一样形影不离。

ある夏の日のことであった。窓辺で薔薇の花を眺めていたカイの目に、突然「いたっ」と鋭い痛みが走った。そして同時に、心臓のあたりにも氷のような冷たさが走るのを感じた。

那是一个夏天的日子。 凯伊正在窗前凝望着玫瑰花,突然「啊」的一声,眼睛被什么刺了一下。 与此同时,他还感到心口也猛地传来一阵冰冷刺骨的寒意。

その瞬間から、優しかった少年は別人のように変わってしまった。母やゲルダに対しても冷たい言葉ばかりを投げかけ、薔薇の花を見ては「醜い、こんな花のどこが美しいというのか」と吐き捨てるようになった。

自那一刻起,原本温柔的少年仿佛变了一个人。 他对母亲也好、对格尔达也好,张口便是冰冷无情的话;看见玫瑰花,便皱着眉头说:「丑死了,这种花究竟有什么美? 」转身吐出一口唾沫。

冬がやってきたある日、カイは広場へそりを引いていった。子どもたちが大きな馬車のそりにこっそりつないで遊ぶのを真似て、カイは自分のそりを、ふいに広場へ現れた純白の大そりに結びつけてしまった。

那年冬天的一日,凯伊拉着自己的小雪橇来到了广场上。 看到其他孩子偷偷把雪橇绑在马车的大雪橇后面玩耍,他也学着把自己的雪橇绑在了一辆突然出现的纯白色大雪橇后面。

その大そりに乗っていたのは、人の目から見たこともないほど美しく、しかし恐ろしいほど冷たい女性、すなわち雪の女王であった。彼女のそりは音もなくはるか北へと走り去り、カイは一片の声も上げる間もなく、女王とともにどこかへ連れ去られてしまった。

那辆大雪橇上,坐着一位世人从未见过的绝世美人——她美得令人窒息,却又冷得叫人毛骨悚然,正是那位冰雪女王。 她的雪橇悄无声息地向遥远的北方驰去,凯伊连一声呼喊也来不及发出,便被一道带到了不知何处。