社長

それでは、緊急役員会議を始めます。今期の業績悪化は、急激な円高と原材料費の高騰が相まって、かつてない規模の赤字を計上するに至りました。我々は抜本的な構造改革を余儀なくされております。

財務取締役

数字を率直に申し上げます。営業利益はマイナス三百億円、自己資本比率も警戒水準を割り込みました。海外の不採算部門からの撤退を視野に入れなければ、最悪の事態を招きかねません。

営業本部長

撤退はあまりにも性急ではありませんか。長年かけて築き上げた現地ネットワークを、一時の数字で手放すがごとき真似は容認できません。我々の営業力にかかれば、必ずや挽回の余地はあります。

社長

営業本部長のお気持ちは痛いほど分かります。しかし、感傷だけでこの危機を乗り切れる段階はすでに過ぎ去りました。冷静な数値判断なくしては、株主にも従業員にも説明がつきません。

財務取締役

補足いたしますと、欧州拠点は四期連続の赤字、北米拠点も需要回復の兆しが見えません。これ以上の損失補填を続ければ、グループ全体の信用格付けに関わる事態となります。