毎月の収入と支出をきちんと把握することは、安定した生活を送る上で欠かせない習慣です。私自身、社会人になって最初の数年は給料が振り込まれるたびに使い切ってしまい、月末になると口座の残高を見るのが怖くて仕方ありませんでした。そんな状態をいつまでも続けてはいられないと気づいたのは、二十代後半に入ってからのことです。きっかけは、結婚を意識し始めた友人から「老後までに二千万円必要らしい」という話を聞き、自分の備えのなさに不安を覚えたことでした。
家計を立て直そうと思ったとき、まず取り組んだのは過去三か月分の支出を全部書き出すことでした。レシートや明細をもとに分類してみると、コンビニでの細かい買い物や、ほとんど使っていない動画配信のサブスクなど、自分でも驚くほど無駄が見えてきました。収入が決して低いわけではないにもかかわらず、貯金がなかなか増えない理由がようやく分かったのです。
その経験を踏まえて、私は月収を三つに分ける方法を試すようになりました。家賃や光熱費、通信費といった固定費に約五十パーセント、食費や交際費などの変動費に三十パーセント、そして残りの二十パーセントを貯蓄と投資に回すという配分です。収入に応じて多少前後はするものの、この割合を意識するだけで支出全体の見通しがずっと立てやすくなりました。固定費の中でも特に通信費は、格安SIMに乗り換えたことで月に六千円ほど浮かせることができ、年間にすると七万円以上の効果がありました。
記録の手段としては、最初は手書きの家計簿を使っていましたが、続けるのが大変で何度も挫折しました。今はスマートフォンの家計簿アプリに切り替え、銀行口座やクレジットカードを連携させているので、ほとんどの取引が自動で記録されます。レシートを撮影するだけで品目を読み取ってくれるアプリも増えつつあり、忙しい平日でも数分あれば一日分の入力が終わります。家族と共有できるものや、グラフで支出の傾向を見せてくれるものなど、目的に応じて選べる時代になりました。