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JLPT N4物語

人魚姫

人間の王子様に恋をする人魚のお姫様のお話。

深い深い海の底に、人魚の王様のお城がありました。王様には六人の娘がいましたが、その中で一番下の人魚姫が、誰よりも美しく、誰よりも優しい歌声を持っていました。

お城の庭で、彼女は海の上から沈んできた古い船の模型を見つめながら、「いつか自分の目で人間の世界を見てみたい」と思っていました。人魚の決まりでは、十五歳になると初めて海の上に行ってもよいことになっていたのです。

待ちに待った十五歳の誕生日、人魚姫はゆっくりと海面まで上ってきました。すると、星空の下で大きな船が音楽を流していました。船の上には、ちょうど誕生日のお祝いをしている若くて美しい王子様の姿が見えました。彼女は一目で王子様に恋をしてしまいました。

しかし夜が明けないうちに、突然激しい嵐がやってきて、船は岩にぶつかって壊れ、王子様は海に投げ出されてしまいました。

人魚姫は王子様を必死で泳ぎながら、岸辺の砂浜まで運びました。王子様の命を救えたことが何よりも嬉しく、波の陰に隠れて様子を見ていました。

やがて、近くのお城のお姫様がそこへ通りかかり、王子様を発見しました。王子様は目を覚ました時に、初めに見たそのお姫様が自分を救ってくれたのだと信じてしまいました。人魚姫は涙を流しながら、悲しく海の底に帰っていきました。

王子様のことが忘れられなかった人魚姫は、ついに恐ろしい海の魔女のところへ行きました。「人間になりたいんです」と頼むと、魔女は黒い薬を渡して、こう言いました。

「これを飲めば足は手に入る。しかし、あなたの美しい声は私がもらいますよ。それから、人間として歩くたび、ナイフで刺されるような痛みがあるはずです。それでもよいなら、お飲みなさい。」

さらに「もし王子様が他の人と結婚したら、あなたは次の朝、海の泡になって消えてしまうでしょう」と注意しました。それでも人魚姫は決心して、薬を飲んでしまいました。

朝、お城の砂浜で目を覚ました彼女は、王子様に拾われ、宮殿で暮らすようになりました。声を失った人魚姫は何も話せませんでしたが、王子様は彼女を妹のように可愛がってくれました。それでも、王子様の心にはずっと、自分を助けたと信じているあのお姫様の姿があったのです。やがて、隣の国のお姫様との結婚が決まり、それはまさに、あの海岸で出会ったお姫様その人でした。

結婚式の夜、人魚姫の姉たちが髪を切って魔女と交換した一本のナイフを持って、海から現れました。「夜が明ける前に、このナイフで王子様を刺せば、あなたはまた人魚に戻れる」と姉たちは涙ながらに言いました。

しかし、眠っている王子様の幸せそうな顔を見ると、人魚姫はどうしてもナイフを振り下ろすことができませんでした。彼女はナイフを静かに海へ投げ捨て、自分も海へ身を投げ、太陽が昇るとともに、白い泡となって空へと消えていったそうです。

— 完 —