むかしむかし、ある雪深い山の村に、貧しいけれども心の優しいおじいさんとおばあさんが二人で暮らしていました。子どもには恵まれませんでしたが、いつも互いを思いやり、静かに日々を過ごしていたのです。

ある冬の朝、おじいさんが薪を取りに山へ入ると、雪の上に一羽の鶴が倒れていました。罠にかかって動けずにいた鶴は、苦しそうに長い首をのばし続けていました。

おじいさんはかわいそうに思い、慎重に罠を外して鶴を逃がしてやりました。鶴は何度も翼をはばたかせ、おじいさんに深々と頭を下げてから、白い空へと飛び去って行ったのです。

その夜、戸を叩く小さな音がしました。おじいさんが扉を開けると、雪まみれの美しい若い娘が立っていました。「道に迷ってしまったので、一晩泊めていただけないでしょうか」と娘は震えながら言いました。

おじいさんとおばあさんは喜んで娘を家に招き入れました。娘はとても働き者で、ご飯を炊いたり、家の掃除をしたりして、二人を実の親のように世話してくれました。

ある日、娘は遠慮がちに切り出しました。「ご恩返しに、わたしに布を織らせてください。ただし、機を動かしている間は、決して中をのぞかないと約束していただきたいのです。」