夏のある日、湖のほとりの草むらで、アヒルのお母さんが大切に卵を温めていました。一つまた一つと小さなくちばしが殻を割って、可愛いヒナたちが次々と顔を出していきます。
ところが、最後に残った一番大きな卵だけは、なかなか割れる気配がありませんでした。ようやく割れたかと思うと、中から出てきたのは、体が大きくて灰色の、ほかとはまるで違う見た目のヒナだったのです。
「なんてみにくい子だろう」と、農場の動物たちはその子をからかいました。兄弟たちは仲間に入れず、ニワトリやガチョウまでつついてくる始末で、みにくいアヒルの子は毎日泣いて過ごしました。
つらさに耐えきれなくなって、彼はとうとう家を抜け出しました。湖を渡って沼地までたどり着くと、野生のカモたちに出会いましたが、ここでも「変わった顔だね」と冷たくあしらわれてしまいました。
そのときどこからか、大きな銃声が響き渡りました。猟師たちと猟犬が現れ、みにくいアヒルの子は震えながら草に身を隠して、なんとか難を逃れたのです。