むかしむかし、大きな森に、足の速いうさぎと、足の遅いかめが住んでいました。うさぎは自信がたくさんあって、「森の中で、私がいちばん速い。かめより、犬より、馬より速いよ」と、いつも自慢していました。
ある日、うさぎはかめに会って、また笑いました。「君は本当に遅いね。そんな短い足で歩くのは大変でしょう。」かめは怒らないで、静かに答えました。「うさぎさん、私と競争しませんか。あの山の上の大きな木まで、走りましょう。」
うさぎはびっくりして、それから大きな声で笑いました。「いいよ。でも、君が負けるよ。」森のほかの動物たちも集まって来ました。みんな「面白い競争を見に来た」と言いました。
「よーい、どん!」きつねが大きな声で言いました。うさぎはすぐに走って行って、見えなくなりました。かめはゆっくり、ゆっくり、一歩ずつ歩きました。「急がないで、休まないで、最後まで歩きたい」と思いました。
うさぎは山の半分まで来た後に、後ろを見ました。かめは小さく、小さく見えました。「かめはまだあんなに遅い。少しだけ寝ても、勝つことができるでしょう」と思って、木の下で寝てしまいました。
かめは止まらないで、ずっと歩き続けました。寝ているうさぎの横を通る前に、ちょっと見ましたが、起こさないで、静かに歩いて行きました。一歩、また一歩、山の上に近づきました。
うさぎが起きた時、空はもう赤くなっていました。「大変だ!」とうさぎは叫んで、山の上へ走って行きました。けれど、もう遅かったです。木の下には、笑っているかめがいました。うさぎはとても悲しくて、何も言うことができませんでした。
その日から、うさぎはもう自慢しませんでした。速い足より、休まない心がいちばん大切だと分かったからです。