日本は長らく長時間労働の国として知られてきましたが、近年、「働き方改革」という言葉が政府の方針として打ち出されて以来、社会全体の意識が少しずつ変わりつつあります。私が勤める都内のメーカーでも、ここ数年の変化はかなり大きく、十年前とは別の会社のようだと先輩たちはよく口にします。
具体的にどう変わったかというと、まず残業時間に上限規制が設けられました。月四十五時間、年間三百六十時間という基準を超えると、人事部から本人と上司の両方に注意のメールが届く仕組みになっています。以前は終電まで会社にいることが当たり前だっただけに、最初は戸惑う社員も少なくありませんでした。「仕事が終わっていないのに、定時で帰っていいのだろうか」という声があちこちから聞こえてきたものです。
私自身、入社一年目の頃は「先輩がまだ働いているのに、自分だけ帰るわけにはいかない」と思い込んでいました。しかし、上司から「定時で帰れる仕事を定時で終わらせるのも実力のうちだ」と言われて以来、考え方を改めるようになりました。実際、夜遅くまで残ったところで集中力は落ちる一方ですし、翌日の生産性も下がってしまうものです。
フレックスタイム制度が導入されたことも、私の生活を大きく変えました。コアタイムさえ守れば、出社時刻と退社時刻を自分で決められるため、朝の満員電車を避けたい日は十時に出社し、夕方早く帰ることもできます。子育て中の同僚にとっては、保育園の送り迎えと両立できる反面、自己管理が一層求められる制度でもあります。