1物事を漠然と指す、最も基本的な意味。「そのこと」「いいこと」「悪いこと」のように、具体的な物よりも抽象的な「事柄」を指して使う。現代の文章・会話ではほぼかな書き。
そのことは私もよく知っています。
今日はいいことがあった。
悪いことをしたら、ちゃんと謝りなさい。
そんな小さなことで悩むな。
2起こった出来事や事件、特に重大な問題・事態を指す。「大変なことになった」「事件のこと」のように、何か深刻な事柄が起きたときの言い方。
電車が止まって、大変なことになった。
あの事件のことは、まだはっきり覚えている。
もしものことがあったら連絡してください。
3ある事柄を取り巻く事情・状況・背景を指す用法。「経済のこと」「天気のこと」のように、ある分野や対象についての状況を漠然と指すときに使う。
最近、経済のことが心配でならない。
天気のことを考えると、明日の遠足は無理かもしれない。
4仕事・用事・処理すべき事柄を指す。「家のこと」「仕事のこと」のように、ある領域での担当業務や事務を指すときに使う。
家のことは私に任せて、安心して出張に行ってきて。
仕事のことで頭がいっぱいで、休みの日も休めない。
5「Xのこと」の形で、ある人やものを話題・対象として持ち出す用法。「彼のことが好き」「子供のことが心配」のように、感情や思考の対象を示すときに非常によく使う。日本語では人を直接「彼が好き」と言うより「彼のことが好き」と言う方が自然なことが多い。
私は彼のことが本当に好きです。
親はいつも子供のことを心配しているものだ。
あの人のことだから、きっと時間通りに来るよ。
君のことを忘れたことは一度もない。
6動詞や形容詞の連体形に付いて文や句を名詞化する接尾語。「〜することは楽しい」「〜することが大切だ」のように、動作や状態を「事」として扱うときに使う。最も基本的な日本語文法の一つ。
日本語を勉強することはとても楽しい。
毎日運動することが健康の秘訣だ。
彼に会えなかったことが残念でならない。
若いうちにいろいろなことを経験するべきだ。
7「〜ことにする」「〜ことにしている」の形で、①自分の意志で何かを決める(〜することに決める)、②そう扱う・そのように見なす(実際にはそうではなくても、そういうことにしておく)、という意味を表す。①は決定の表現として日常で頻繁に使う。
来年からジョギングを始めることにした。
毎朝六時に起きることにしている。
今日のことは、聞かなかったことにしておこう。
8「AことB」の形で、A が通称・別名・旧名、B が本名であることを示す古風で改まった表現。芸名や旧姓を公式に併記するときに新聞や案内文で使われる。
国民的歌手の美空ひばりこと加藤和枝が、十八歳でデビューした。
ねずみ小僧こと次郎吉は、江戸時代の有名な義賊だ。
9「〜ことはない」の形で、「〜する必要はない/〜しなくてもよい」と相手に伝える表現。何かを心配したり無理したりしている相手を安心させるときによく使う。
そんなに急ぐことはないよ、ゆっくり食べて。
失敗しても、そこまで落ち込むことはない。
迷っているなら、無理して行くことはないと思うよ。
10「〜ことだ」の形で、「〜するべきだ/〜することが大切だ」と相手に助言・忠告するときの表現。やや上から目線になることもあるので、目上の人には注意して使う。
上手になりたいなら、毎日練習することだ。
健康のためには、よく寝て、よく食べることだ。