1物の内側・内部。外から見えない部分や囲まれた空間を指す、もっとも基本的な「なか」の意味。
箱の中に本が三冊入っている。
部屋の中は思ったより静かだった。
カバンの中を探したが、鍵は見つからなかった。
冷蔵庫の中には何も残っていなかった。
2ある集団・範囲・選択肢のうちで。「〜の中で」「〜の中から」の形で、いくつかある中の一つを取り上げたり、範囲を限定したりするのに使う。
クラスの中で彼が一番背が高い。
三つの案の中から一つを選んでください。
知っている人の中で一番頼りになるのは彼女だ。
3中央・真ん中の位置。あるものの中心的な部分、ちょうど真ん中あたりを指す。
町の中を大きな川が流れている。
テーブルの中ほどに花瓶を置いた。
夜中に目が覚めて、しばらく本を読んでいた。
会場の中ほどの席が空いていた。
4ある状況・状態・出来事の真っただ中。「〜の中で」「〜の中(を)」の形で、その状況の中で何かが起こる・行われることを表す。動詞に直接付く「〜中(ちゅう)」とは別で、こちらは「なか」と読み、より文学的・情景描写的な響きを持つ。
雨の中を傘もささずに歩いてきた。
忙しい中、来てくれてありがとう。
拍手の中、彼は壇上に上がった。
暮らしの中で日本語を少しずつ覚えていった。
5二つの物事のあいだ・間隔。やや限定的・古風な用法で、現代では「間(あいだ)」を使うほうがふつう。
二人の中をとりもつ人が必要だった。
6両極のあいだの中間・平均的な位置。「中をとる」(折衷案を取る、双方の言い分の真ん中を取る)の形で使われる、やや限定的な用法。サイズや等級の「中(ちゅう)」とは別物で、こちらは「なか」と読む。
両者の意見の中をとって、結論を出した。
7三つ並んだもののうちの真ん中・二番目。「中の◯」の形で、三人兄弟の中の子(中間の子)などを指す古風な言い方。なお、上巻・中巻・下巻のような巻数の場合は「中(ちゅう)」と読み、別の語として扱う。
三人兄弟の中の子は、おとなしい性格だ。
8上・中・下の三段階のうちの「中」、すなわち中等の品質や等級。古風な品評・序列で「なか」と読まれる用法で、現代の「中サイズ(ちゅうサイズ)」「中くらい」のような単独使用は基本的に「ちゅう」と読む。
品物を上・中・下に分け、中のものを選んだ。
9(古語)江戸時代の遊郭・遊里の俗称としての「中(なか)」。吉原などで「廓の中」「中(なか)に通う」のように使われた。現代の日常語ではまったく使われない。