羊飼いのメロスは、激しく怒った。必ず、あの残虐で身勝手な王を除かなければならないと決意した。彼は妹の結婚式の支度を整えるべく、はるばるシラクスの市まで出てきた、まことに素朴な若者だった。

牧人梅勒斯激怒了。 他下定決心,必須除掉那個邪惡殘暴的王。 他原本只是一名樸素的青年,遠道來到錫拉庫扎市,為的是替妹妹籌備結婚的事宜。

メロスは市を歩き回り、買い物を済ませようとした。しかし、夜の都の様子は、二年前に来た時とはまるで違っていた。家々の戸は固く閉ざされ、人々の顔には何かおびえたような色が浮かんでいた。

梅勒斯在市內四處走動,想把買的東西辦妥。 然而,夜色中都城的樣子,與兩年前他來過時截然不同。 家家戶戶大門緊閉,行人面上彷彿帶著某種膽怯之色。

メロスはひとりの老人をつかまえて、その理由を尋ねた。老人は声をひそめて告げた。「王様は、人を殺すのでございます。ご自身の妃も、王子も、それから親類や家臣に至るまで、信頼に値する者は誰一人いないと、片端から処刑しておられるのです」と。

梅勒斯拉住一位老人,問他箇中緣故。 老人壓低聲音告訴他:「陛下在殺人。 連自己的王妃、王子,乃至親族、家臣,凡是他認為不值得信賴的,都被一一處決了」。

メロスはこれを聞いて、激しい怒りに身を震わせた。「そのような王を、生かしてはおけない」と、彼はその場で剣を手にし、まっすぐ王城へと向かった。市の人々は、彼の振る舞いを止めるすべもなく、ただ呆然と見送るばかりだった。

聽了這番話,梅勒斯怒不可遏。 他當場握劍在手,直奔王城而去,口中說道:「如此暴君,斷不能讓他活著」。 市民們無力阻止他,只能茫然送他離去。

王城に踏み入ったメロスは、ただちに衛兵に捕らえられた。王ディオニスの前に引き出された彼は、いささかも恐れることなく、王の暴政を激しく非難した。「人を信じることを忘れた者には、もはや王である資格はない」と、彼は鋭く言い放った。

闖入王城的梅勒斯立刻被衛兵抓住。 他被帶到狄奧尼斯王面前,毫無懼色地猛烈譴責王的暴政。 「忘記信賴他人的人,已經沒有當王的資格了」,他凜然說道。

ディオニス王は、青ざめた顔で薄笑いを浮かべながら答えた。「人の心とは、いつわりばかりだ。信じるなど、愚か者のすることだ」と。そして、彼はメロスを翌日処刑することに決めた。

狄奧尼斯王臉色蒼白,唇邊浮起一絲薄笑,答道:「人心都是虛偽的。 所謂相信,不過是愚者所做的事」。 他當場決定第二天處決梅勒斯。

メロスは静かに、しかし毅然として、王に願い出た。「妹がおります。三日後に式を挙げる予定でしたので、どうか三日だけ命をのばしていただきたい。式を済ませた後、必ずここに戻ってまいります」と。

梅勒斯靜靜地、卻毅然地請求王說:「我有一個妹妹。 她原本預定三日後舉行婚禮。 懇請陛下寬限我三日的性命,辦完婚禮之後,我一定會回到此處」。

王は嘲笑い、「逃げる気だろう、人など信じられるものか」と切り捨てた。しかしメロスは退かず、「身代わりに友のセリヌンティウスを人質として残します。友が裏切ったならば友を殺せばよい、私は必ず戻る」と誓った。

王嘲笑道:「分明是要逃跑,人哪裡值得信任」。 梅勒斯卻不退縮,發誓道:「我把摯友塞利努提烏斯留下來作為人質。 如果我背叛,殺了他便是。 我一定會回來」。