光源氏が須磨に隠棲していた折の寂寥たる日々のことである。都を遠く離れた海辺の暮らしは、栄華の極みにあったかつての彼には想像もつかぬほどにわびしいものであった。毎夜のごとく吹きすさぶ海風の音に耳を傾けながら、源氏は都に残してきた愛しい人々の面影を偲ばずにはいられなかった。都への郷愁の念は日に日に募るばかりであった。
這是光源氏隱居在須磨時那些寂寥的日子。 遠離京城的海邊生活,對於曾經處於榮華富貴頂峰的他來說,是難以想像的落寞。 幾乎每晚聽著呼嘯的海風聲,源氏不禁思念起留在京城的親愛的人們的容顏。 對京城的懷念之情日益加深。
ある暴風雨の夜、激しい雷鳴とともに天と地が揺れ動いた。自然の猛威を前にしては、いかなる高貴な身分の者であろうと成す術がない。源氏はこのまま辺境の地で朽ち果てるのではないかという深い絶望に囚われた。しかし、都の政争に敗れ、自らの意志でこの地へと退いた手前、今さら泣き言を漏らすようにも漏らせない状況にあったのである。
在一個暴風雨的夜晚,伴隨著劇烈的雷鳴,天地搖晃。 在自然的猛威面前,無論身份多麼高貴的人都無能為力。 源氏陷入了深深的絕望,擔心自己會不會就這樣在邊境之地腐朽枯萎。 然而,既然是因為在京城的政爭中失敗而自願退隱到這裡的,事到如今他也陷入了無法抱怨的境地。
そのような苦境にあっても、源氏の周囲には彼をしたって従う数名の家臣たちがいた。彼らは自らの不遇を顧みず、ひたすらに主君に忠義を尽くしていた。源氏はその誠実さに触れるにつけ、彼らをこのような不便な地へ巻き込んでしまったことを心苦しく思い、ただ彼らの行く末を案じては「まことに哀れに忍びない」と涙をこぼすのだった。
即使在這樣的困境中,源氏身邊仍有幾名仰慕並追隨他的家臣。 他們不顧自己的不幸,一心一意地對主君盡忠。 源氏每當感受到這份誠實,就對自己把他們卷入這種不便之地而感到痛心,只能擔憂著他們的前途,感嘆著「真是可憐得讓人不忍直視」而流下眼淚。
ある夜、源氏の夢の中に今は亡き父帝が現れた。父帝は「お前は海の底に沈むべき運命ではない。速やかにこの地を去るがよい」と厳かに告げたのである。夢から覚めた源氏は、これが神仏のお告げであると直感し、再び都へ戻る希望を抱くに至った。絶望の淵に立たされていた彼にとって、父帝の言葉はまさに一条の光にほかならなかった。
一天夜裡,源氏的夢中出現了已故的父皇。 父皇莊嚴地宣告:「你不該是沉入海底的命運。 快快離開此地吧。 」夢醒後的源氏直覺這是神佛的啟示,重新燃起了回到京城的希望。 對於站在絕望深淵的他來說,父皇的話語無非是一道曙光。
やがて、明石の入道という者が源氏を自らの館へ迎え入れたいと申し出てきた。その案内により、源氏は須磨のひなびた住まいから少しばかり離れた明石の地へ移ることとなる。そこで彼は新たなる運命の女性、明石の君と出会うことになるのである。都を離れてもなお尽きることのない源氏の数奇な運命は、ここに新たな局面を迎えたのであった。
不久,一位名叫明石入道的人提議想迎接源氏去自己的府邸。 在他的指引下,源氏從須磨那簡陋的住所遷往了稍遠一些的明石之地。 在那裡,他將邂逅新的命運之女——明石之君。 即便離開京城也依然延綿不斷的源氏奇特命運,在此迎來了新的局面。