JLPT N1 に戻る
JLPT N1会話

専門家へのインタビュー

ラジオ番組で最新医療の可能性と倫理的課題について聞く。

アナウンサー

本日のゲストは、再生医療の第一人者として知られる先生にお越しいただきました。先生、まずはこの度発表された新しい遺伝子治療法について、その革新性を一言でご説明いただけますでしょうか。

専門家

従来の治療では、症状を抑えることはできても、病の根本原因に手を加えることは困難でした。今回の手法は、患者ご自身の細胞を編集して体内に戻すという発想に基づいており、難病の根治に道を開く可能性を秘めております。

アナウンサー

具体的に、どのような疾患への応用が期待されているのでしょうか。

専門家

当初は、特定の遺伝子変異に起因する希少疾患を対象に進めてまいりました。しかし、ここ数年の研究を踏まえれば、糖尿病や一部のがんといった、より広範な疾患への応用も視野に入ってきたと申し上げてよいかと存じます。

アナウンサー

とはいえ、一部の専門家からは、遺伝子を操作することそのものへの倫理的懸念や、未知の副作用への危惧も根強く残っていると伺います。これらの声にはどう向き合っておられますか。

専門家

ご指摘の点は、決して軽んじてはなりません。新たな技術の導入には常にリスクが伴い、そこへの配慮を怠れば、それは医学の敗北にほかならないと、私自身肝に銘じております。

アナウンサー

安全性の検証は、具体的にどのような手順で進めておられるのでしょうか。

専門家

初期の臨床試験を皮切りに、十年単位の長期追跡調査までを一貫した体制で実施しております。さらに、国内外の独立した倫理委員会の審査を経なくしては、いかなる新規プロトコルも一切実施いたしません。

アナウンサー

治療を希望されている患者さんやそのご家族に対して、現時点で何かメッセージはございますか。

専門家

まず申し上げたいのは、過度な期待もまた、患者の方々を傷つけかねないということです。希望はけっして失わないでいただきたい。同時に、目の前の症状に応じた既存の治療を継続することの大切さも、どうかご理解いただきたく存じます。

アナウンサー

政策面で、行政や立法府に望まれることはございますか。

専門家

研究費の安定的確保はもとより、規制当局と研究者との対話の場を、もっと開かれたかたちで設けていただきたいと願ってやみません。技術の進歩と倫理のバランスをいかに取るか ── それこそが、社会全体に問われている課題なのです。本日はお招きいただきまして、誠にありがとうございました。

— 完 —