昔々、ある山の麓に、竹を切って暮らしているおじいさんがいました。ある日、おじいさんが竹林に入ると、根元から光っている不思議な竹が一本ありました。「こんなに明るく光るなんて、何かあるに違いない」と思って、そっと切ってみると、中には親指ほどの小さな女の子が座っていました。おじいさんは驚いて、その子を大切に家に連れて帰りました。
おじいさんとおばあさんは、その子に「かぐや姫」という名前をつけて、自分の子のように育てました。不思議なことに、姫は三ヶ月ほどで立派な大人になり、月の光のように美しい女性になっていきました。
その美しさの噂は遠くの村まで広がり、毎日のように貴族の男たちが「ぜひ結婚させてください」と屋敷の前に集まるようになりました。
かぐや姫はどうしても結婚したくなかったので、五人の貴族にそれぞれ難しいお願いをすることにしました。「仏様の石の鉢を持ってきてください」「燕の貝をください」「火の鼠の皮の服を見せてください」。
誰も本物を見つけることができず、嘘の品を持ってきたり、途中で諦めたりしてしまいました。それでも、姫は誰の妻にもなろうとはしませんでした。
ある春の夜、かぐや姫はお月様を見ながら泣き始めました。心配したおじいさんが理由を聞くと、姫は静かに言いました。「実は私は月の国の者です。八月十五日の夜、月から迎えが来る予定なのです。」
二人は「そんな悲しいことを言わないでくれ。あなたは私たちの大切な娘なのに」と泣きました。
おじいさんはお殿様にお願いして、その夜、屋敷の周りにたくさんの兵士を集めてもらいました。「絶対に姫を連れていかせるわけにはいかない」と、みんなで姫を守る準備をしました。
しかし十五日の夜、空から眩しい光が降りてきて、月の人々が雲の上にゆっくりと現れました。兵士たちは弓を引こうとしましたが、体が動かなくなってしまいました。
かぐや姫は涙を流しながら、おじいさんとおばあさんに最後の挨拶をしました。「今まで本当にありがとうございました。月に帰っても、私はずっと二人のことを忘れません。」
そう言って、姫は天の羽衣を着て、月の人々と一緒に空へ上っていきました。二人は何も言えず、月が見えなくなるまで、ずっと夜空を見上げ続けたそうです。