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JLPT N3物語

かさ地蔵

お地蔵様に傘をあげる優しいおじいさんのお話。

むかしむかし、ある村に貧しいけれど心優しいおじいさんとおばあさんがいました。明日はお正月だというのに、二人にはお餅を買うお金さえありませんでした。そこでおじいさんは、町へ編み笠を売りに行くことにしました。

町へ行く途中、雪が降る中に六体のお地蔵様が立っていました。「こんなに雪が降っていては、お地蔵様も寒いに決まっている」とおじいさんは思いました。しかし、その日は編み笠が全く売れなかったので、おじいさんはそのまま帰るしかありませんでした。

帰り道、お地蔵様の上の雪がさらに積もっていました。おじいさんはかわいそうに思い、売れ残った五つの笠をお地蔵様の頭にかぶせてあげました。しかし、一つ足りません。おじいさんは自分の手ぬぐいを取って、最後のお地蔵様にかぶせました。

手ぶらで帰ってきたおじいさんでしたが、おばあさんは「それは良いことをしましたね」と優しく言いました。その夜、二人が寝ていると、家の外で不思議な歌声が聞こえてきました。そして、家の前にドスンという大きな音がしました。

二人が外に出てみると、そこにはお米や野菜、お餅などが山のように置かれていました。遠くの雪道を、編み笠をかぶったお地蔵様たちが歩いて帰っていくのが見えました。お地蔵様が、笠のお礼に贈り物を持ってきてくれたのに違いありません。