むかしむかし、中国の花果山という山の頂に、天と地の気を吸い続けた一つの巨大な石がありました。ある日、その石が突然割れ、中から一匹の不思議な猿が飛び出してきたのです。

並外れた力と知恵を持ったこの猿は、他の猿たちから王として認められ、自ら孫悟空と名乗るようになりました。仲間たちと果物を食べ、滝の裏に隠れた洞窟を住みかにして、自由気ままに暮らしていたのです。

しかし、孫悟空はやがて「どうせ百年経てば、自分も死んでしまう」と気づきました。不老不死の術を学ぶため、はるか遠くにある仙人の山へ、何年もかけてたどり着いたのです。

仙人のもとで、孫悟空はさまざまな魔法を授かりました。なかでも、雲を呼んで瞬時に十万里を飛ぶ筋斗雲と、姿を七十二通りに変える術は、彼の自慢の力となりました。

修行を終えた孫悟空は、海底にある竜王の宮殿へ乗り込み、無理やり巨大な金棒如意棒を借り受けて出てきました。さらに、地獄の閻魔様のもとへ押しかけ、自分の名前を死の帳簿から消してしまったのです。

驚いた天界の神々は、孫悟空を罰するかわりに馬の世話係として雇い、おだてて天界へ呼び寄せました。ところが、自分の役職が低いと知った孫悟空はかっとなり、「斉天大聖」と名乗って、桃源の不老不死の桃を食べ、仙薬まで飲んでしまいました。