むかしむかし、ある海辺の小さな村に、浦島太郎という心優しい若い漁師が住んでいました。年老いた母と二人暮らしで、毎日海に出て魚を取り、村の人々からも好かれていたのです。
ある日の昼下がり、太郎が浜辺を歩いていると、子どもたちが集まって何かを棒でつついていました。近づいてみると、小さな亀が砂の上でひっくり返り、苦しそうにもがいていたのです。
「そんなことをしてはいけない。亀がかわいそうじゃないか」と太郎は言いました。子どもたちに小銭を渡して亀を譲ってもらうと、太郎は亀を波打ち際まで運び、そっと海へ逃がしてやりました。
それから数日経ったある朝、太郎が舟で漁に出ていると、舟のすぐ横に大きな亀が浮かび上がりました。「先日助けていただいたお礼に、竜宮城へご案内します」と亀は静かに語りかけました。
太郎は驚きながらも亀の背中に乗り、海の底へとぐんぐんもぐっていきました。やがて見えてきたのは、青く光るサンゴと真珠で飾られた、夢のように美しいお城でした。