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JLPT N2文化

わび・さび

不完全な物の中に美しさを見出す日本の伝統的な美意識。

「わび・さび」とは、日本の伝統的な美意識を表す言葉です。完璧な美しさではなく、不完全な物の中にこそ深い美しさがあるという考え方にほかなりません。

この美意識は、茶道の世界から生まれました。茶の湯の創始者とされる千利休は、豪華な装飾よりも、素朴で静かな空間を好みました。ひびの入った茶碗や、色あせた掛け軸にこそ、時の流れが感じられるものがあると考えたのです。

興味深いことに、わびとさびは元々似た意味ではありませんでした。「わび」とは、質素で簡素な暮らしの中に見出す美のことです。一方で、「さび」は時間の経過とともに生まれる味わいを指します。古い木の表面や、苔の生えた石垣には、さびの美しさが宿っています。

現代社会では、効率や新しさばかりが重視されがちです。しかし、わび・さびの精神からすると、古くなった物を簡単に捨てるのは惜しいことです。年月を経た物には、新品にはない温かみがあるからです。

近年、わび・さびの考え方は海外でも注目されつつあります。建築やインテリアデザインの分野をはじめ、自然素材を活かしたシンプルな空間づくりが世界中で広まっています。完璧を求めないという日本独自の美意識は、忙しい現代人の心にも響くものがあるのでしょう。