返回 JLPT N2
JLPT N2故事

幸福の王子快乐王子

自分を削って人々に尽くす王子の像のお話。为了拯救穷苦百姓而牺牲自己的王子雕像的故事。

高い柱の上に、町を見下ろすようにして「幸福の王子」と呼ばれる一体の像が立っていた。全身は薄い純金の葉に覆われ、両の目には大粒の青いサファイアが、剣の柄には真っ赤なルビーが、惜しみなくはめ込まれていた。

高高的石柱上,俯瞰着小镇竖立着一座被人们称作「快乐王子」的雕像。 雕像通体覆盖着薄薄的纯金叶片,两眼镶嵌着两颗硕大的蓝宝石,剑柄上则点缀着一颗鲜红的红宝石。

町の人々は誰もがその像を仰ぎ見て、「あの王子のように幸せそうに見えればいいものを」と口々に語り合った。だが、その像が抱えている真実の悲しみについては、誰一人として気づく者はなかったのである。

镇上的人无不仰望着这座雕像,纷纷感叹:「但愿我们也能像那位王子一样,看起来这般幸福。 」然而那雕像内心藏着的真正悲伤,世间却无一人察觉。

生前の王子は、悲しみなど知るよしもないようなふうに、宮殿の中で毎日を笑って暮らしていた。何不自由のない暮らしの中で、城壁の外にどんな世界が広がっているかなど、考えてみたこともなかった。

生前的王子,在宫殿之中天天欢笑度日,仿佛根本不知人间还有「悲伤」这两个字。 在锦衣玉食的日子里,他从未想过城墙之外的世界究竟是什么模样。

しかし、死後にこの高い場所へ立てられてからは、町の隅々で人々が抱える貧しさや悲しみが、嫌でも目に入るようになってしまった。それ以来、王子の金で覆われた頬には、夜になるとひとりでに涙がこぼれ落ちるようになったのである。

然而,自从死后被立在了这高处之上,小镇上每一个角落里贫苦人家的窘迫与悲伤,便不由得映入了他的眼中。 从那以后,每到夜里,王子那金面颊上便会不由自主地滚落一滴又一滴的泪水。

ある秋の夜のことであった。エジプトへ渡るのが遅れた一羽の小さなツバメが、王子の足元の柱の上で羽根を休めることにした。「ここなら金で屋根が葺かれた寝床に泊まれそうだ」と、一人ご満悦であった。

那是一个秋天的夜晚。 一只动身去埃及晚了的小燕子,决定借王子脚下的石柱稍作休息。 「这地方屋顶可是用纯金葺成的呢。 」他心中颇为得意。

ところが、ツバメがちょうど眠りに就こうかという折に、頭上から大きな冷たい水滴が落ちてきた。「雨が降ってもいないのにおかしいな」と上を見上げると、それは王子の流す涙にほかならなかった。

然而正当他要进入梦乡之时,一颗巨大冰冷的水滴突然从头顶滴落下来。 他抬头一看,分明并未下雨,那滴水竟是王子流下的眼泪。

「あちらの貧しい家では、母親が病気の子どもの看病に疲れ果てている。私の剣の柄のルビーを引き抜いて、あの母親に届けてやってくれないか」と、王子は震える声で頼んだ。

「在那边那户穷人家里,有一位母亲为照看生病的孩子而疲惫不堪。 请你将我剑柄上的红宝石拔下来,送到那位母亲那里去吧。 」王子用颤抖的声音如此恳求。

ツバメは初め断ろうとしたものの、王子のあまりにも切実な眼差しに負け、結局そのルビーを母親のもとへ運んだ。長旅に疲れていたにもかかわらず、貧しい母子の枕元にそっとルビーを置いてくると、ツバメは温かい気持ちで王子のもとへ帰り着いた。

燕子起初本想拒绝,可被王子那双殷切到极点的眼神所打动,最终还是把红宝石送到了那位母亲身边。 尽管旅途劳顿,他仍轻轻地把红宝石放在了贫苦母子的枕边,怀着一份温暖的心情回到了王子身边。

翌朝、ツバメはいよいよエジプトへ旅立とうとしたが、王子は再び引き留めた。「町の屋根裏で、若く才能ある劇作家が、寒さと飢えのために行き倒れつつあるのだ。今度は私の片目のサファイアを持っていってやってくれないか」と、王子はすがるように頼んだ。

第二天清晨,燕子总算又要启程飞往埃及,可王子又再次挽留了他。 「在镇上的阁楼里,有一位年轻而才华横溢的剧作家,正因寒冷与饥饿濒临死去。 这一次,请你把我一只眼睛里的蓝宝石带去给他吧。 」王子如此苦苦哀求。

ツバメは「明日こそは出発する」と何度も自分に言い聞かせつつ、王子の言葉を断ることができなかった。サファイアを腕に抱えるようにして、彼は震える劇作家の机のそばまで飛んでいった。

燕子一遍又一遍地告诫自己「明天一定要出发」,却怎么也无法拒绝王子的请求。 他将蓝宝石小心地抱在怀里,一路飞到那位身子打颤的剧作家书桌旁。

さらに次の日、王子は最後のサファイアをマッチ売りの少女に届けるようツバメに頼んだ。「両目を失ってしまったら、もう町を見ることもできないが、それでも構わない」と王子は言いきった。

又过了一天,王子又请燕子把仅剩的最后一颗蓝宝石送给一位卖火柴的小女孩。 「我虽然会因此失去双眼,再也看不到这座小镇,但那也无所谓。 」王子斩钉截铁地说。

目の見えなくなった王子を一人残して旅立つわけにはいかず、ツバメは「もう一生あなたのおそばを離れません」と固く決意した。それからというもの、ツバメは毎日町中を飛び回っては、見聞きしてきたことを王子に語って聞かせた。

燕子实在无法把已经失明的王子独自留在那高处自己飞走,便在心里暗暗下定决心:「我一生都不离开您。 」从那以后,他每天都飞遍全镇,将所见所闻一一向王子讲述。

「私の身を覆っているこの薄い金箔を一枚ずつはがして、貧しい人々に分けてやってほしい」という王子の言葉に応じ、ツバメは雪の降る町を毎日飛んでは、銀貨と化した金の葉を一枚、また一枚と運び続けた。

在王子「请把我身上这一片片薄薄的金箔一张张剥下来,分给那些贫苦的人们」的请求下,燕子每日穿过飘雪的小镇,将变成了银币的金叶子一片又一片地送到穷人家中。

やがて王子の像はすっかり金を失い、見る影もない灰色のみすぼらしい姿に成り果ててしまった。けれども、金を分け与えられた子どもたちは久しぶりに腹を満たすことができ、貧しい家々には小さな笑顔が戻ってきたのである。

不久之后,王子的雕像便完全失去了那身金装,化作了一座灰扑扑、不堪入目的破败雕像。 然而,被分得金箔的孩子们却久违地填饱了肚子,贫苦的人家里也终于重新有了一丝丝笑容。

冬が深まるにつれて寒さはますます厳しくなった。それでもツバメは王子のそばを離れず、ある夜とうとう力尽き、「さようなら、愛しい王子様」と一言告げるなり、王子の足元で静かに息を引き取ってしまった。

随着寒冬一天比一天加剧,气温变得越来越严酷。 即便如此,燕子也始终没有离开王子身边。 一天夜里,他终于精疲力竭,只来得及说一句「再见了,亲爱的王子」,便静静地死在了王子的脚下。

その途端、王子の胸の中の鉛の心臓が、大きな音を立てて二つに割れた。それは、ツバメの死を悲しんだあまりのことであったに相違ない。

就在那一刹那,王子胸口里的那颗铅心猛然发出一声巨响,分作了两半。 这无疑是因为他对燕子之死悲伤至极所致。

春になると、町の市長と議員たちは「あんなみすぼらしい像は、もはや町の体面に関わる」と決め、王子の像を引き倒して炉にかけることに決めた。ところが、不思議なことに、像の胸の中の鉛の心臓だけは、どれほど火にくべても溶けてくれなかった。

春天到来后,镇长和议员们决定:「这么破烂的雕像已经有碍镇上的体面。 」便下令将王子的雕像推倒,扔进了熔炉。 然而不可思议的是,雕像胸口里的那颗铅心,无论怎么用火去烧,都丝毫融化不了。

それは結局、ツバメの亡骸とともに、町外れのゴミ捨て場へぽいと放り投げられてしまった。

那颗铅心最终连同燕子的遗体,被一并随手抛到了镇外的垃圾堆里。

しかしその時、天国から地上を見下ろしていた神様は、傍らの天使にこう告げた。「あの町から、この世で最も尊いものを二つだけ持ってくるがよい」と。天使は迷うことなく、王子の鉛の心臓と、その足元に倒れたツバメの亡骸を選び取って、神様のもとへ持ち帰ったのであった。

然而就在此刻,自天国俯瞰人间的上帝,对身旁的天使如此说道:「你去那座镇上,把这世间最珍贵的两样东西带回来吧。 」天使毫不犹豫,选中了王子的那颗铅心和倒在他脚下的小燕子的遗体,将它们带到了上帝面前。

— 完 —