今は昔、竹取の翁と呼ばれる老人がいた。彼は毎日のように野山に分け入って竹を切り取り、生活に必要なさまざまな道具にこしらえては、町でそれを売って細々と暮らしを立てていた。

ある日のこと、いつものように竹林に踏み入った翁は、奥のほうで一本だけ根元がぼうっと光り輝いている竹を見つけた。不思議に思って近寄ってみると、なんとその竹の筒の中では、小さな手のひらほどの女の子が、ちょこんと座っているではないか。

「これはきっと天が私のもとへ授けてくれた子に相違ない」と翁は思い、その子をそっと両手に抱えて家へと連れて帰った。子のなかった老夫婦にとって、この出会いはまさに長年の願いがかなった奇跡にほかならなかった。

その日を境に、翁が竹を取りに行くたびに、黄金がぎっしりと詰まった節を持つ竹を立て続けに見つけるようになった。家はみるみるうちに豊かになり、もはや細々とした暮らしは過去のものとなったのである。

不思議なことに、その娘はわずか三ヶ月のうちに一人前の女性へと成長を遂げ、世にも稀なほどの美しさを備えていた。やがて村の長老たちが集まり、彼女に「かぐや姫」という名を授けた。

かぐや姫の美しさといったら、見た者は誰一人として目を奪われずにはいられないほどであった。その噂はあっという間に都にまで届き、身分の高い貴公子たちまでもが、競って彼女に結婚を申し込みに来るようになった。

中でも特に熱心だったのは、五人の高貴な公達であった。彼らは何としてもかぐや姫を妻にしようと、毎日のように翁の家の前に押しかけ、頭を下げ続けた。

困り果てたかぐや姫は、一計を案じ、五人それぞれに別々の難題を出すことにした。仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の首の珠、燕の子安貝——およそ普通の人間の力では手に入れようがないものばかりであった。