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JLPT N2物語

竹取物語

最古の物語とされる、かぐや姫の完全版。

今は昔、竹取の翁という者がいた。野山に交じって竹を取り、様々な用事に使っていた。ある日のこと、いつものように竹林に入ると、根元が光り輝いている竹を見つけた。不思議に思って近づいてみると、筒の中が光り、そこには可愛らしい三寸ほどの女の子が座っていた。「私が見つけたのだから、私の子になる運命に相違ない」と翁は思い、大切に育てることにした。

その子を家へ連れて帰り、妻に預けた。子どもがいなかった老夫婦にとって、この子は天からの授かりものにほかならなかった。それ以来、翁が竹を取るたびに、黄金が入った竹を見つけるようになり、家はたちまち豊かになった。三ヶ月もすると、その子はあっという間に驚くほど美しい娘へと成長し、「かぐや姫」と名付けられた。

かぐや姫の美しさといったら、世間に並ぶ者がないほどであった。その噂は瞬く間に広まり、数え切れないほどの男たちが「どうか妻になってほしい」と申し込んできた。熱心な五人の貴公子たちも、何とかして結婚しようと競い合ったが、かぐや姫は無理難題を押し付け、誰一人として応えることはできなかった。帝までもが姫の美しさに心を奪われ、手紙を送り続けたものの、姫は決して首を縦に振ることはなかった。

やがて秋になり、月が美しく満ちる頃になると、かぐや姫は毎夜月を見上げては深く悲しむようになった。翁が心配して理由を尋ねた末に、姫はついに口を開いた。「実は、私はこの国の人ではなく、月の都の者なのです。来月の満月の夜には、迎えが来て月へ帰らざるを得ないのです」と泣きながら打ち明けたのである。

満月の夜、翁や帝は数千人の兵士を遣わして姫を守ろうとした。しかし、月の使者たちが降りてくると、兵士たちは光に目がくらみ、全く戦うどころではなかった。かぐや姫は育ててくれた翁たちに深く感謝しつつ、不死の薬と手紙を残して、静かに月の都へと昇っていった。残された翁たちは悲しみのあまり、ただ泣き崩れるほかなかったのである。