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JLPT N2物語

七夕伝説

織姫と彦星が年に一度だけ会える物語。

夜空に輝く天の川のほとりに、神様が住んでいた。神様には織姫という美しい娘がおり、彼女は毎日機織りをして、神様たちの着物を作っていた。一方、天の川の対岸には、彦星という真面目な若者がおり、牛の世話を熱心にしていた。二人とも働き者であっただけあって、神様は彼らを夫婦にすることに決めたのである。二人は出会ってすぐに恋に落ち、互いを深く愛するようになった。

ところが、結婚を契機に、二人の生活態度はすっかり変わってしまった。一緒にいるのが楽しすぎるあまり、彼らは全く働かなくなってしまったのだ。織姫が機織りをやめたせいで、神様たちの着物はボロボロになるばかりであった。のみならず、彦星が世話を怠ったため、牛たちは次々と病気に倒れてしまった。「夫婦になったのは良いものの、このままでは天界の生活が成り立たなくなりかねない」と、他の神々も心配し始めた。

神様はついに激怒し、「お前たちが仕事をしないのなら、二人を引き離すほかない」と宣言した。そして、織姫を天の川の西に、彦星を東に引き離してしまったのである。天の川は広くて深く、川を渡って会うことなど到底できそうになかった。二人は毎日、川の対岸を見つめては泣き続けるばかりで、当然のことながら、悲しみのあまり仕事どころではなかった。

二人のあまりの悲しみようを見た神様は、少し気の毒に思った末に、ある約束を交わすことにした。「以前のように真面目に働くというのなら、年に一度、七月七日の夜に限って会うことを許そう」と告げたのである。その言葉を頼りに、織姫と彦星は再び一生懸命に働き始めた。彼らにとって、再会の日を指折り数えて待つことが、生きる希望となったのだ。

そして待ちに待った七月七日の夜、カササギと呼ばれる鳥たちがどこからともなく飛んできて、翼を並べて天の川に橋を架けてくれた。二人はその橋の上で、一年に一度の幸せな再会を果たすことができたのである。しかし、もし七夕の日に雨が降ろうものなら、川の水かさが増して橋が架けられず、二人は会えずに終わってしまう。だからこそ、人々は夜空に向かって、七夕の夜が晴れるようにと祈るのである。