夜空にうっすらと白く輝く天の川。その川のほとりには、はるか昔から一人の偉大な天の神様が住んでおられた。

神様には織姫という美しい娘がいた。彼女は朝から晩まで機の前に座って、神々や天人たちが身にまとう絹の着物をせっせと織り続けていた。

一方、天の川の向こう岸には、彦星という働き者の青年がいた。彼は天界の牛たちの世話をするのが仕事で、一頭一頭の体を磨き、餌をたっぷり与えてはかわいがっていた。

二人それぞれの仕事ぶりについては、すでに天界中で評判であった。神様も「二人とも、これほど真面目な働き手はそうそういない」と、日頃から深く感心しておられたのである。

そんなある日、神様は「これほどの働き者同士なら、夫婦にすればさぞ幸せに暮らすであろう」と、二人を引き合わせることに決めた。初めて会った織姫と彦星は、互いに一目で深い愛情を抱き、まもなくめでたく夫婦となった。

ところが、結婚を契機に、二人の暮らしぶりはがらりと変わってしまった。一緒にいるのがあまりに楽しすぎるあまり、二人はすっかり仕事の手を止めてしまったのである。

織姫は機の前に座っても、すぐに席を立っては彦星に会いに行ってしまうばかりであった。神々の着物はみるみるうちにすり切れ、新しい一着すら織り上がらない有様であった。

彦星もまた、牛の世話を放り出して、毎日織姫と笑い興じる始末であった。世話をされなくなった牛たちは、痩せ細って次々に病に倒れていった。