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JLPT N1日常生活

ギグエコノミーの台頭

フリーランスやプラットフォーム労働の光と影。

従来の終身雇用制度が揺らぐ中、フリーランスやプラットフォーム労働といった新たな働き方が台頭している。ギグエコノミーと呼ばれるこの潮流は、若者を中心に急速に広がりを見せている。

組織に縛られず、自分なりのペースで働けることが最大の魅力だと、多くのギグワーカーは口を揃える。時間や場所の制約から解放され、好きな仕事を選べる自由は、従来の雇用形態では得がたいものだ。

しかし、自由の代償は決して小さくない。社会保険や有給休暇といった福利厚生はおろか、最低賃金の保障すら受けられないケースが大半だ。収入が不安定であるがゆえに、将来の生活設計もままならない。

プラットフォーム企業の責任も問われている。労働者を「個人事業主」と位置づけることで雇用主としての義務を免れている現状は、法的にはあたらないまでも、道義的には批判を免れまい。利便性の追求にかまけて、働く人々の権利を軽視しているとの指摘は根強い。

こうした問題に対し、各国で法整備が進められている。ギグワーカーに対する社会保障の拡充や、プラットフォーム企業への規制強化といった動きが、ヨーロッパを皮切りに世界各地に波及しつつある。日本においても、フリーランス保護法の制定を経て、少しずつ環境は改善されつつある。

働き方の多様化は時代の必然であり、その流れに抗うべくもない。だからこそ、自由と安定のバランスをいかに取るかが問われている。誰もが安心して働ける社会の実現に向け、制度設計に知恵を尽くさねばならない時が来ている。