むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。ある雪の日、おじいさんは罠にかかって苦しんでいる鶴を見つけました。かわいそうに思ったおじいさんは、鶴を助けてやりました。すると鶴は空高く飛んでいきました。
その夜、美しい娘がおじいさんたちの家にやってきました。「道に迷ってしまったので、一晩泊めていただけないでしょうか」と彼女は言いました。娘はとても働き者で、おじいさんとおばあさんは彼女を本当の娘のように可愛がるようになりました。娘は「私に布を織らせてください。ただし、私が機織りをしている最中は、絶対に中を見ないでほしいのです」と言いました。
娘が織った布はとても美しく、町で高く売れました。「こんなに美しい布を、どうやって織っているのだろう」とおばあさんは不思議でしかたがありませんでした。とうとう我慢できずに、おばあさんは戸の隙間から部屋の中をのぞいてしまいました。
そこには娘の姿はなく、一羽の鶴が自分の羽を抜いて糸に混ぜながら布を織っているところでした。娘の正体は、おじいさんが助けたあの鶴に違いないと二人は気づきました。
秘密を知られた鶴は、もう人間の姿でいるわけにはいきませんでした。「私はあの時助けていただいた鶴です。ご恩返しに来たのですが、見られたからにはここを去らなければなりません」と言い残し、鶴は空へ帰っていきました。