昔々、ある山のふもとの村に、心の優しいおじいさんと、欲張りで意地悪なおばあさんが住んでいました。ある日、おじいさんが畑から帰る途中、道に怪我をした小さな雀が落ちているのを見つけました。「これは可哀想に。家で元気になるまで世話をしてあげよう」と思って、おじいさんは雀を大事に抱えて帰りました。
その日からおじいさんは、毎日米粒や水を雀にあげて、優しく育てました。雀もすっかりおじいさんに慣れて、肩に乗ったり、後をついて歩いたりするようになりました。
しかし、おばあさんは前から雀のことが好きではありませんでした。ある日、おばあさんが大切にしていた糊を雀が食べてしまったので、おばあさんは「この憎たらしい鳥め」と怒って、はさみで雀の舌を切ってしまいました。雀は痛さに泣きながら、窓から空へ飛んでいきました。
仕事から帰ったおじいさんはその話を聞いて、涙が出るほど悲しくなりました。次の朝、彼は「雀がどこにいるか、自分で探してみるしかない」と言って、山へ出かけました。
何時間も山の中を歩きながら、「舌切り雀のお宿はどこ」と呼びかけていると、竹やぶの中から声が聞こえてきました。そこには立派な雀の宿があり、舌を切られた雀が元気な姿で出てきて、「ようこそ来てくださいました」と歓迎してくれました。
雀たちは、おじいさんのために美味しいご飯を出したり、踊りを見せたりして、にぎやかにもてなしました。夕方になり、おじいさんが「もう帰ります」と言うと、雀は二つの行李を持ってきました。
「大きい行李と小さい行李があります。お土産にどちらがいいですか」と聞きました。「年寄りだから、軽い方がいい。小さい方をもらいましょう」とおじいさんは答えて、お礼を言って家に帰りました。
家に着いて行李を開けてみると、中には金や銀、絹の着物などの宝物がぎっしり詰まっていました。おばあさんはその光る宝物を見て、目の色を変えました。「私もすぐに雀の宿へ行く。大きい行李をもらってくる」と叫んで、休む間もなく山へ走っていきました。
雀の宿に着いたおばあさんは、もてなしも待たずに「早く大きい行李をくれ」と言いました。雀たちは仕方なく重い行李を渡しました。「家に着くまで、絶対に開けてはいけません」と注意されたのに、おばあさんは我慢できず、山の途中で蓋を開けてしまいました。
すると、中から恐ろしいお化けや蛇がたくさん出てきて、おばあさんは悲鳴を上げながら山を転がるように逃げ帰りました。それからおばあさんは、二度と雀の話をしなくなったそうです。