まず申し上げておきたい。貴国の度重なる技術移転の要求は、我が国の知的財産権を著しく侵害するものであり、到底受け入れられるものではありません。
それは一方的な見解に過ぎません。両国間の経済格差を是正し、真の互恵関係を構築せんがための正当な要求にほかならない、と我々は確信しております。
互恵関係という美名にかこつけて、自国の産業競争力を不当に高めようという意図は明白ではありませんか。このままでは、厳しい経済制裁の発動を余儀なくされるでしょう。
制裁という脅しをもって我々を屈服させようというのであれば、それは見当違いも甚だしいと申し上げざるを得ません。交渉の決裂が両国のみならず、世界経済全体にいかほどの打撃を与えるか、歴史の教訓に即して冷静に判断していただきたい。
率直に申し上げれば、我が国の世論はもはや忍耐の限界に達しております。技術窃取の疑いが累積する以上、形式的な譲歩で事態が収束するなどとは、決して考えておりません。
貴国の懸念は理解いたします。しかしながら、いわれなき疑念を前提として交渉を進めるのは、外交上の作法に反するのではないでしょうか。我々もまた、自国の利益を代表する立場にあることをお忘れなく。
では、具体的な提案を伺いましょう。査察制度の整備、知的財産違反への罰則強化、第三者機関による紛争処理機構の設置 ── これらをパッケージとして受け入れる用意はおありか。
査察に関しては、対等性が担保される限り検討の余地はございます。ただ、罰則の水準につきましては、我が国の司法制度との整合性を踏まえなければ、軽々に受諾するわけにはまいりません。
司法主権を盾にされてはいかなる協定も画餅に帰します。我々が求めているのは、実効性のある拘束力であって、見せかけの合意書ではないのです。
貴国の立場は重く受け止めます。とはいえ、両国の関係を一夜にして変えうる魔法の処方箋は存在しません。段階的な信頼醸成措置こそが、唯一現実的な道筋ではないかと存じます。
時間という贅沢が我々に許されているのかどうか、それこそが問題の核心です。事態の悪化を放置すれば、後世に取り返しのつかない禍根を残しかねません。
であればこそ、ここで決裂するわけにはまいりません。本日の議論を踏まえ、明朝までに我が方の修正案を提示いたします。それをもって、改めて建設的な対話を続けていきましょう。